生活🐌の記録

いるようでいない、いないようでいる

アサッテの人

アサッテの人
衝撃。
「叔父」について必要なことを必要な分だけ書いてある。行間から立ち上る姿にただただスゲエ。すごいんだよ、言葉の羅列の間に、見知っている世界からアサッテの方角に身をかわそうとしながら、世界に縛られて動けなくなった叔父の姿が見えるのです。最後のほうなんかもう、マジックとしかいいようがない。事細かに説明しているわけじゃないのにアサッテにのまれていく叔父の姿がはっきりと見える。マジック!! ていうかポンパ!
まだ物語の筋についての感想をいえばいいのか、文章の感想をいえばいいのかわからない。すごい小説です。2010年下半期に読んだ本の中で早くも1番かも。

「ヨハン・ゴットフリート・ヴィルヘルム・ライプニッツ(中略)
ああ、
「ヨハン・ゴットフリート・ヴィルヘルム・ライプニッツ!」

最初から読んでいってこの部分にたどりついたとき、わたしは息をつくしかできなかったよ。しばらくうっとりした。

世界を爆破させるにはたった一つの単音節で十分だ。
なのに 今夜はそのたったひとつのことばのための場所さえない。
オクタビオ・パス/田村さと子訳)

古川日出男のアビシニアンの冒頭に引用されていた。実際の本は読んだことが無い。どの本にはいってるんだろう。