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雑多な日記

新劇旧劇

先週今週と金曜ロードショーでヱヴァづくしだったわけですが。Qがはやく、みた、い!

新劇の製作が発表された当時、旧劇の結末に納得していたわたしは、今何をエヴァで描くんかなあ、と思ったものですが、Qの公開を控えて序破を見直してみると、やっぱり新劇いいよな〜と思うのです。新劇はとにかく他者を他者として描いているところが、いい、というか、好き。

そんなわけで不意にユリイカを思いだしたのでした。なんだろね、やっぱりエヴァのやっていた時代というのは、地下鉄サリン事件があり、神戸の事件があり、9.11があり、みたいな時期だったので、エヴァをみると、その時代に対する自分の問いやら答えやらが直結してしまう。

ユリイカ (角川文庫)

(前略)

「なして、殺したら、いけんとや」

 恐怖に震え、重く澱んだ声だった。初めて聞く直樹の声だった。何よりそれが悲しかった。

「いけんては云うとらん」

 そう答えるのがやっとだった。いまここの直樹に云うならそれしかなかった。

(中略)

 それから沢井は自転車に跨がり、走り始めた。だがすぐに自転車は駐車場の中を孤を描いて周回し始めた。それが沢井のやり方なのだった。かつて茂雄にその苦痛を話した。茂雄は仕事というのはそういうものだ、と云った。だが考えてみればそれは、沢井の生活そのものだった。同じところをぐるぐる回るのだ。その退屈さに耐えて初めて沢井は自分の生を感じることができたのだ。そのことを、いま直樹に伝えねばならなかった。

「これで、ぐるぐるここを回っとくか、バスに帰って梢を殺すか、どっちにするか」

 周回しながら、沢井は直樹にそう叫んだ。速度があがった。直樹は反射的に荷台を両手で掴んでいた。

「三周まわる間に決めろ」

 徐々に自転車は弧を大きくしていった。無意識に沢井は時間を引き延ばそうとしていた。息を切らせて直樹の答えを待った。三周目に入った。

「ここを、ぐるぐる、回っとく」

 直樹は、そう答えた。

(後略)