生活🐌の記録

いるようでいない、いないようでいる

ご本

 帰ってきたらポストに荷物が届いていた。少し前に本をお渡しした方から、本の贈り物。すごくすごくうれしい。
 書き出しのすばらしい小説は最後まで引きこまれて読めるのだけれど、いただいた服部まゆみさんの「この闇と光」、一文読み始めただけで、胸がどきどきした。中表紙に引用されていたエリオットの詩もすてき。

低く降りていけ、ひたすら降りて
永遠なる孤独の世界
世界ではない世界、まさしく世界ではないものに向かっていけ
内部の闇

 エリオットは最近他でも見かけたんだけど、どこだっただろう、ってあれだ。女神転生の氷川さん。笑

四月は残酷極まる月だ

 と、いった詩人がいた、と氷川さんが仰っていた。
 書き出しが好きな小説ってたくさんある。
 車谷長吉赤目四十八滝心中未遂や折口信夫死者の書川上弘美のおめでとう、とか。

 数年前、地下鉄神楽坂駅伝言板に、白墨の字で「平川君は浅田君といっしょに、吉田拓郎の愛の讃歌をうたったので、部活は中止です。平川君は死んだ。」と書いてあった。
車谷長吉 - 赤目四十八滝心中未遂)

 彼の人の眠りは、徐かに覚めて行つた。まつ黒い夜の中に、更に冷え圧するものゝ澱んでゐるなかに、目のあいて来るのを、覚えたのである。
折口信夫 - 死者の書

 寒いです。ゆうべはずいぶん風が吹いたので、今朝も少し波が高い。風は、こわいです。風が吹くと、いろいろな音がくる。ボウボウボウボウ。ざんざんざん。ルルルル。ゆんゆん。いつもない音が、どこからかやってくる。いつもないものは、こわい。
川上弘美 - おめでとう)


 少し前に書いたけど、夏目の京に着ける夕の書き出しも最高。

 汽車は流星の疾きに、二百里の春を貫いて、行くわれを七条のプラットフォームの上に振り落す。


 なんだかひさしぶりに、小説ってすばらしい、と思った。わかってたことだけれど、あらためて。なんてなんてすてきなんだろう!