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雑多な日記

無銭優雅 つづき

 いや、はや、いや、はや。

 これも大事な1冊になりました。はー。良い本だった。後半、電車の中で涙ぐんでしまった。こうやっていつもながら周囲を恐怖に陥れるわけだな…小学生ぐらいの女の子にじっとみられてしまった。すまん、わたしはだめな大人の見本です。



 以下、好きな部分、引用。

 後半に引用したい部分がたくさんあるんだけど、結末のネタバレになっちゃうので。

 あと色の違う部分は、本のなかでさらに他の作品から引用している部分です。


 わたしに食べさせるための蓮華を自分の口許に持って行き、冷まそうと息を吹きかける。伏せられた長い睫毛。慎重にすぼめられた唇。この人は美しいな、とふと思った。お母さんにしちゃ、ずい分と凛凛しいけれど。



 夜、冷たいすいみつ桃一個、カステラ。

 何をしていても胸が一杯だ。

 花子と入院の支度。



 庭が少しずつ整えられていく。本は少しずつ片付けられている。私の手が掛かっている有様が目に見えるようになってきた。
 無銭優雅では随所で、こうやって他作品からの引用がはさまれるんだけど、死の匂いのする恋の文章をはさむことで、慈雨と栄の関係だけじゃなくて、恋や愛の気配がぐあっと寄り添ってくる。風邪をひいた慈雨の心情の後に富士日記の組み合わせはなんだか本当にじんわりと切ない気持ちになりました。



 恋愛小説だめって人にも読んでもらいたい本でございます。