201302
しろやぎさんくろやぎさん
ポストにははいりきらない愛のうた読まなくていい届くのならばこいびとは鎧ではないぼくたちはコタツに足をつっこんでいる
いついつかいつかくる日を待ちながら無邪気なひとと朝夕を食む
きみのいうかなしみはいつどこからかくるのだろうねテストみたいに
201303
交わりが滅びではない青空に二羽白鳥が睦みあい飛ぶ
少年はあえかなる交わりのよう菜の花を湯にくぐらせている
塩と塩入れ
過ぎ去りしこととことわり真夜中にきみはぽつぽつ海のはなしをストーカーと呼んでくれるなきみに憑き守りつづけるのが仕事ゆえ
201304
少年の羽根を千切って暮らしてる 男の人にときおり売れる
抗菌の部屋でなければ生きられないなにかのようだきみらふたりは
この肩の重みよ続け終点でさらばさらばとふざける朝も
ベガ・デネブ・アルタイル 点をうつときは息止めている遠い背中よ
あしあとを残す気のない風のようゆるやかに去るきみの映像
生きているのではないのだ朝がきて僕は数ミリずつ死んでいる
ぼくは黒あなたは白としてねむりいまは一羽のつばめとなった
甘やかなひかり断たれた尾をきみが拾いつつゆく春の遠足
201305
右を見て左を見やるぼくたちはいつだってべつべつにあること
このひかりはきみの見ていたものですか これはビルです あれは、虹です
あの土は寝心地がいい幼年の終わりの朝に背中を割いて
まばたきにはさまれてゆく星々は遠いむかしのぼくらであって
201306
幾千の獣が牙を砥いでいるここはひとりも死なない世界
201308
『ロザリオス』トジツキハジメ
一点(ロザリオ)でつながっているぼくたちは互いの祈りを知らなくとも
201309
曇りなき青 満ち満ちておとうとは禊をすませ生け贄となる
201310
ぼくたちはヒトとなまえのついている熱 高速で飛びつづけます
そのひかり消しさるたびに深海にいるように鳴る携帯電話
どこまでもいけないのだね水槽に沈んだような車両は揺れて
201311
たったひとつの裂け目もないとうそつきの肩口にくちづける群青
きょう/ゆ/う/けつ/しょう
境界を夢にみたならうそつきの血族としてショーにでましょう
今日だけは赦していてよ麗しき結句のトリック証明するねぼくたちは限界までひきのばされた宇宙のはしっこすこしさみしい
越えたなら越えただけさみしい明け方の規則正しい背骨の並び
201312
換えてよとうつくしきたましいの縁より飛ぶ夢想(祈らないこと)