201401
ひりついたむかし話だゆっくりと首を垂らすぼくのゆうれい
ろくべえを待たせたままで円形の空を見上げる あんなに青い
盤上に踊るぼくらのやくそくは灯台のあかりのようにある
さみどりのひかりを消してゆくときの消しゴムは盗品だおまえの
201402
(大雨洪水警報は出されたままだ)
ぼくたちはクローン透けた肉体を重ね合わせて愛を放てば分かたれて風が止んだら心臓のおさまる場所を正確に知る
きみは王さまのようだね群青と交ざるジャングルジムのてっぺん
201403
「かみさまのこえがしなくてぼくはもういけないからさ、さよならしよう」
201405
愚かなる問いでしょうかとライラックより降る花をあつめてきみは
花は咲く/咲く/空白を略さねば咲かぬとぼくら言ったそばから
いつまでも子どもであった足裏を浸すゆうべのほのあかり消ゆ
さみしげに佇むひとの影をみる唱える神をもたぬぼくらは
(満開のブーゲンビリアをくぐりぬけ祈る静かな副音声だ)
やくそくがときにひかりになるように(祈る)川のおと聞いて帰ろう
永遠でない子どもらが抱きあって眠る夜明けだ すこしさみしい
綯い交ぜのままよろめいて口づける睫毛にぽつりとまった涙
201406
ひとすじの帯/天井にながれつくかつてはぼくも星の子だった
201407
少年でしたか ほとりに立つぼくはきみの姿をしていましたか
この地図にぼくらはいないからはみだして塗ってゆくクレヨンの青
目も耳も遠く離れてお祈りの仕方をぼくは不意に忘れる
手になれた音階をかけあがりつつお別れのことばをかんがえる
鉄塔をのぼる幽霊いくたびも生まれて死んでいくたびも雲
深緑色のカーテン透けてとりつくろわれた咆哮、白夜、蝉たち
201409
甘さとは、とまで考え夕立のきいろ、校庭、窓のひと粒
201410
かがみよかがみせかいでいちばんうつくしい冬のはじまり木枯らしよ 見て
201411
でもぼくがまずすべきこと息をすることねむることすこし泣くこと
なんとなく残しておこうと思ったものだけさかのぼってまとめることにする。
BL短歌ですが自由に読んでください。