生活🐌の記録

いるようでいない、いないようでいる

140709 #BL読みノック 3首目

さみだれにみだるるみどり原子力発電所は首都の中心に置け(塚本邦雄

 6月。しとしとと降りつづく雨にうたれ、若葉の季節をこえた木々の葉がさらに色濃くなっていく。その景色のなかで主体は「原子力発電所は首都の中心に置け」と主張している。

 首都を支えるための電力を供給する原子力発電所は首都圏外にある、という事実に対する批判がこめられていることは、書かれているまま受け取れると思う。

 (五月雨のなかのみどりはおそらく美しいだろう)

 そもそもこの歌をBL読みするかどうか迷った。それは内容として、これを欲望のまま読んでいいのか? と思った。BLが、というわけでなく、物語として消費することの暴力は確かにあるのだ。とはいえ、社会との関係において表現を自粛する、というのもおかしな話だし、かといって好き勝手読むこと、をどうしていいか、まだわからない。不謹慎だから、というのもおかしいよね、とツイッター上で麻子さんと話したりした。

 何かしらの関係性を見いだせればそれがなんであってもBL読みは提示できる、と思っている。で、今回、いろいろ考えた末にわたしの中で足すことも引くこともなくしたBL展開はこれです。

 →首都に住む人間×原子力発電所近くに住む主体

 物質同士(首都と原子力発電所)の組合せも考えたのだけれど、人間同士がやっぱり一番この歌には合う気がしました。ただこれって本当に暴力的な関係でかといって逃れられるわけでもなく。わたし自身、暴力的な物語を消費できる人間なので、なんていうか、なんていうか。つらいところです。