生活🐌の記録

いるようでいない、いないようでいる

サリー坊さんから一首

「地球では性的欲求対象にこの≪ちょこ≫とやらを渡すというので」

 サリー坊さん(@ShinSaluin)のVdBL短歌から。

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 彼は地球外生命体である。

 どの銀河からやってきたのか、詳しく話されたところでわからなかったのだが、地球から遠く離れた星からやってきたことだけは確かである。人の姿をしているし、言葉も通じるのでしばしば錯覚しつつも、文化や感覚の違いから別の種族なんだな、と思う。

 彼の中では、誰かに対する興味や好意、おそらく「好き」や「愛してる」も含め、その周辺の感情は「性的欲求」という言葉にまとめられていくらしい。随分ざっくりしてる。ただ、表情に出ないだけで何も感じていないわけではないみたいだ。

 「性的欲求対象」といわれて身構えたけれど、たぶんこれは好きってことなんだろうなと解釈してチョコレートを受け取った。彼はまじめに地球(日本)のことを勉強したんだろう。だってチョコレートがどういったものか、彼は知らなかった。食べさせてみたら生まれた星にあるなんとかっていう果物の味に似ているとかなんとか。

 お互いに知らないことが多すぎて、僕は彼の告白を冗談にはできない。大真面目な彼に対して、大真面目に受け取ることが僕なりの誠意であるような気がした。

 ただし、まだ事は成していない。簡単に成されちゃったら、すこし困るし。

 そう簡単には叶わないものなんだよと言ったら不思議そうな顔をしてたっけ。彼は今日も地球の、それから僕の研究に熱心である。

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 すごく好きな短歌です。
 観賞文というか、感想文というか、こういう風な二人で、こういう風な情景を思いました、という展開も含めて書かせてもらいました。ここまで書いていいんだろうか、と自分でも思いつつ、感想文のひとつとして読んでいただけたらうれしいです。