生活🐌の記録

いるようでいない、いないようでいる

芦屋こみねさんから一首

つり革とお前しか揺れぬ始発には感情の殻がいくつも積もる

芦屋こみねさん(@urahara0811)のBL短歌から。

大勢で朝まで呑んだ帰りだろうか。

ひとり、ふたりと朝もやのなか、それぞれの家路につく。
彼もまた友人であり想い人でもある男とともに帰るところである。

始発の電車に乗ると、男はすぐうとうととしはじめた。男の体温が身体の片側から伝わってくる。友であるが故の無防備さを彼は半ばあきらめつつも、振り子のように弱く揺れているつり革を見ていると、感情がばらばらになっていくような気がしてくる。

関係が変わることはない。ずっと良い友達のままかもしれない。でもそれでいい、と自分は言いきれない。……好き、嫌い、好き、嫌い……そうでもない。やっぱり好きかもしれない。

感情は幾重にも割れて彼のまわりにつもり積もっていく。

男への想いが消えるときは来るのだろうか。
電車の走る一定のリズムが二人の関係を物語っているようで、せつない。