生活🐌の記録

いるようでいない、いないようでいる

山階基さんから一首

今日はひとくちくれって言いに来なかったお前に箱を差し出されてる

山階基さん(@yama_shina)のBL短歌から。

長い付き合いなのだろう。

バレンタインデーにもらったチョコを毎年、ひとくちくれと奪っていた友人が、今年は謎の箱を差し出す。そこにチョコレートが入っているだろうことは容易に想像できる。二人の間には何かがあるのか、ないのか、それはわからないが、例年と違う友人にも、差し出された箱にも彼の戸惑いがみてとれる。

この瞬間のあと、ふたりの関係は変化してしまうかもしれない。もし冗談のひとつでもあったなら、あるいは流れるように受け取れたなら、なかったことにもできる(かもしれない)。けれど、いま目の前の状況はもっとシリアスな空気をまとっていて、そんなことはできないのだろう。

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ここからしたはただの妄想だが、もし彼ら二人が幼馴染で、兄弟のような関係であったなら、きっと彼は弟のような友人の「ひとくちちょうだい」が「ひとくちくれ」に変化する瞬間を見てきたのではないか。

少年が思春期に入り、彼に対する気持ちがただの親しみから恋慕に変わったとき、チョコレートを差し出さずにはいられなかったことを思うとせつなく、またその思考の単純さをかわいらしくも思う。

同級生だったなら、ということも考えたが、永遠に書き続けられる気がするので、自粛します。