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雑多な日記

七重八重

 ツイッターでも同じようなことをつぶやいたのだけれど、自分のために書いておく。

 友人のつぶやきに「ヤマブキ」の文字を見つけて、そろそろ(といっても少し早いのだけれど、春になればすぐに初夏がやってくるので、そろそろ、と言ってしまう)そんな季節かとうれしく思った。

 小学生のとき、絵の具の「やまぶき色」が何故、「きいろ」でなく「やまぶき色」なのかが不思議でしょうがなかった。わたしは山吹がどんな木かも知らず、色の違いもわからなかったので、わたしの中で「やまぶき色」は「きいろ」のお仲間であって、むしろ何故これが黄色ではないのか、と思っていたのだった。

 やまぶきの花の色を知ったのは、大人と呼ばれる年齢になってからだ。
 もう働いていたから21、2くらいのときだと思うのだけれど、4月の終わりにTと京都へ行った。小さなゲストハウスに泊まり、ぶらぶらと散歩をしたり古本屋めぐりをしたり、としている中で、清水へ続く道の、川沿いの青々とした桜の下で咲く八重のやまぶきを見て、「やまぶき色」は本当にやまぶきの色なのだなあ、と思った。日の光に透けたやまぶきの花はたまらなく美しかった。
 
 そういった周りの景色に目をとめることが、年々、年をとるごとに増える。
 早く大人になりたかった。だから10代を急ぐばかりで周りを見る余裕などなかったけれど、今はてくてく歩いているかんじだ。周りを見ながらゆるやかな山を越えて、休んで、もう一度歩き始めることの繰り返し。

 みんなと同じ高校を卒業していたら何か違うものが見えただろうかなどと一時思ったときもあったけれど、今ではあれでよかったのだと思う。おかげさまでわたしは毎日元気にしています。

 七重八重 花は咲けども 山吹の 実のひとつだに 無きぞかなしき (兼明親王
 唯一覚えている和歌。