生活🐌の記録

いるようでいない、いないようでいる

冬の日

 今年に入って、たしか四度目くらい。柳田邦男の「犠牲」を読んでいる。繰り返し読んでいるのにいつでもはっとする。悲しい本だ。でも助けられる部分がすごく多くて、なんだろう、元気になる! とかそういうんじゃないんだけど、毎日何もなくても磨り減っていく部分のために読んでいます。今年は灰谷健次郎の「兎の眼」も同じような理由でよく読んだ。

ああ智慧は かかる静かな冬の日に
それはふと思ひがけない時に来る
人影の絶えた境に
山林に
たとへばかかる精舎の庭に
前触れもなくそれが汝の前にきて
かかる時 ささやく言葉に信をおけ
「静かな眼 平和な心 その外に何の宝が世にあらう」
(冬の日/三好達治